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控訴・上告の申立手続

・控訴・上告とは
裁判を申立て、審理が進み、その審級で判決がでても、内容に不服があれば、別の審級の裁判所に申立てを審理してもらうことができます。この申立てを上訴と呼び、主に控訴と上告があります(抗告などもありますが通常の方は縁がないので記載を省略します)。
ごくごく簡単に説明しますと、「控訴」とは第1審の判決に対する第2審への上訴を、「上告」とは、第2審からさらにその上の審級への上訴を指します(なお、第1審から第3審である最高裁判所へ一気に上告できる場合もあるため、正式な上告の定義はこれとは異なります)。

・審級
第1審が地方(家庭)裁判所であれば、第2審は高等裁判所、第3審は最高裁判所になります。また第1審が簡易裁判所であれば、第2審は地方裁判所、第3審は高等裁判所になり、場合によってさらに第4審の最高裁判所への上告の可能性があります。

・控訴の手続
控訴は、第一審判決の送達を受けた日から2週間の控訴期間内に、第1審の裁判所に控訴状を提出することによって行います。
面白いことに、控訴なのに、その申立て手続は第2審ではなく、第1審で行います。理由は、2週間の控訴期間の期限を計算できるのは、判決を送達した第1審なので、第1審で控訴の手続をさせようとの立法趣旨によります。
控訴には以下の書類が必要です。
<必要書類>
控訴状
郵便切手
収入印紙
控訴状には、訴状と同じく当事者の記載のほか、第1審判決への控訴であることを表示すればよいです。また、訴えの提起と同様、郵便切手と収入印紙も提出することになります(なお、収入印紙の額は第1審の1.5倍の金額になり、郵便切手額は裁判所のホームページに案内があります)。

・上告の手続
上告の手続も控訴の手続と同様です。つまり、控訴審の判決に不服があれば、控訴審に上告状か上告受理申立書を提出することになります。
なお、上告は、厳密には上告と上告受理申し立ての2種類があります。ごく簡単に説明すると、上告は憲法違反(民事訴訟法312条1項)や絶対的上告理由(民事訴訟法312条2項)があることを理由とした申立て、上告受理申し立ては、その他の法令違反等について上告としての審理を求める申立てです。
憲法違反等を争うことはあまりないので、普通は上告は最高裁判所に上告受理申し立てをすることになります。
なお、例外として、第3審が高等裁判所の場合、高等裁判所に対しては法令違反を理由とした上告ができます(民事訴訟法312条3項)。