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家事調停の申立手続

・家事調停とは
家事調停は、家庭に関する事柄について、家庭裁判所において、話し合いをすることで問題を解決する手続です。
特に家庭に関する事項についての紛争は家事事件と呼ばれています。家事事件は、家庭内の事柄であるので、通常はいきなり裁判を提起できず、まずは調停を申し立てなければならないとされています(家事事件手続法257条1項)。そのため家事調停は、離婚に関する問題や遺産分割に関する問題などの家事事件について、特に多く利用されている手続になります。

・家事調停の申立手続
家事調停の申立手続方法は、下記の必要書類を家庭裁判所に提出する方法によって行われます。民事調停と異なり担当の裁判所は家庭裁判所になりますので、注意が必要です。
 (1)家事調停申立書
   (一般的な事件については、定型のものが裁判所のホームページにアップされています)
 (3)郵便切手
 (4)連絡先等の届出書(裁判所のホームページに案内があります)
 (5)非開示の希望に関する申出書(上記同様)
<必要書類:事件の内容によっては、さらに提出が必要なもの>
 (6)戸籍謄本(相続の場合は被相続人の出生から死亡までの全ての謄本、離婚等の場合は現在の分のみの戸籍謄本)
 (7)不動産登記簿謄本(全部事項証明書)(遺産分割に不動産がある場合など)
 (8)固定資産税評価証明書(上記同様)

・家事調停の進行
申立が完了すると、第1回の調停期日を定めて、調停が開催されます。調停は基本的に1~2か月に1回おきに開催され、具体的な中身についての話し合いが行われます。
調停には2名の調停委員が同席し、申立人と相手方で交互に部屋に入室して調停委員と話し合う方法で進行します。申立人と相手方がお互いに顔合わせをするのは、基本的に一番最初の挨拶の場面と、最後の調停成立・不成立の確認の場面のみです。

・弁護士の選任の要否
一般的に家事調停で問題となる紛争には、離婚と遺産分割に関するものがあります。財産についての争いが絡む場合は、知識のあるなしで結果に差がつくことが多いため、弁護士をつけるのとつけないので結果が相当変わることがあります。
他方で、離婚するかしないかといった当事者の意思のみで決定される内容だけを話しあう場合は、弁護士をつけてもつけなくても結果は変わらないこともあります。
なお調停がまとまらなかった場合は、次は裁判提起に移行することになりますが、家事の裁判については、極めて専門的な手続になりますので、弁護士の選任は必須になります。裁判段階から弁護士に依頼すると、日弁連の弁護士報酬基準では調停段階よりも高い金額になりますので、事件がこじれそうな場合には、調停段階から弁護士に依頼して調停での事件解決を目指すというのも一つの手です。